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ロシアの「ハイブリッド攻撃」 フィンランド

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2022年2月にウクライナ戦争が始まると、フィンランドとスウェーデンが北大西洋条約機構(NATO)への加盟に動いた。

 

加盟申請はトルコの思惑で難航もしたが、フィンランドは2023年4月にすでに加盟を果たし、スウェーデンも年内に加盟を果たす見込みと報道されている。

 

フィンランド、NATOに正式加盟 31番目の加盟国に - BBCニュース

スウェーデンNATO加盟、年内実現とトルコ外相表明=米当局者 | ロイター

 

ハイブリッド攻撃

北欧二カ国のNATO加盟の動きに、プーチン大統領はもしフィンランドとスウェーデンに軍隊が配置されたり、関係するインフラが築かれるのであれば、対抗措置を取ることを仄めかしていた。

 

北欧2か国NATO加盟手続き開始 プーチン大統領は強くけん制 | NHK | ウクライナ情勢

 

ロシアの対抗措置が静かな形で始まったのかもしれない。

2023年11月下旬、フィンランドがロシアの「ハイブリッド攻撃」を非難していると報道されたのだ。

 

フィンランド、ロシアの「ハイブリッド攻撃」非難 検問所ほぼ全て閉鎖 | ロイター

 

移民という手段

ハイブリッド攻撃とは、武力的手段以外に、サイバー攻撃やデマなどの非武力的手段を組み合わせて相手国を攻撃することを言う。

 

が、今回選ばれたらしい手段は移民なのだ。

 

8月頃から、ロシアからフィンランドへ渡る非正規移民が増え始めた。

11月末、フィンランドはロシアとの国境の検問所を全て封鎖する(ただし、2週間の期限で)。

 

フィンランド、ロシアとの国境を2週間全面閉鎖へ 難民流入阻止で | ロイター

 

11月の亡命希望者は約900人に上ったが、以前には1日1人以下だった。

国境警備隊によれば、亡命希望者の出身国は、ケニア、モロッコ、パキスタン、ソマリア、シリア、イエメンなどと多様だ。

 

なお、フィンランド首相は「現時点でこれは難民申請者の問題ではない。ハイブリッド攻撃と国家安全保障の問題だ」と断っている。

 

ベラルーシ

移民を利用したハイブリッド攻撃には、実は前例がある。

 

ウクライナ戦争前の2021年にも、ロシアの協力国ベラルーシから、ポーランド、ラトビア、リトアニアへの違法越境が紛争化しているのだ。

ヨーロッパ連合(EU)はこれをハイブリッド攻撃と非難したが、ベラルーシからの違法越境の問題は現在も解決していない。

 

ポーランド、ベラルーシ国境で移民流入を阻止 双方が非難の応酬 - BBCニュース

ポーランド ベラルーシからの違法越境が急増で警戒強化 | NHK | ポーランド

 

フェンス建設

ロシアを警戒するフィンランドの動向としては、ロシアとの国境の一部にフェンスの建設を始めたことが、以前から注目されていた。

 

フィンランド、ロシア国境にフェンス建設開始 全長200キロ - BBCニュース

 

ただし、目的は徴兵忌避のロシア人の越境を防ぐためと説明されており、今回の移民問題とは関係がない。

 

軍事シェンゲン

最後に、最近ロシアがNATOの「軍事シェンゲン」を警戒する発言をしたので、簡単に触れておく。

 

NATOの「軍事シェンゲン」構想、緊張あおる=ロシア大統領府 | ロイター

 

EUにはシェンゲン協定という合意がある。

これは域内での自由移動を約し合ったものだが、これを軍事レベルで実現しようという構想が、いわゆる「軍事シェンゲン」だ。

 

この構想はウクライナ戦争前からあるが、ロイターの報道を見る限り、最近NATOの幹部が改めて同構想に言及したため、ロシアが牽制したものと思われる。

 

▽ヘルシンキ

ヘルシンキ


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