人類の宇宙開発・探査技術が進歩していくにつれ、広大な宇宙もまた幾分「狭く」なっていく…そんなこともあるかもしれません。
事実、現在人類が抱えている計画の内には、ケンタウルスα星という聞きなれない星の直接探査が含まれます。
ケンタウルス座α星は地球に最も近い恒星系で、約4.3光年の距離にあります。
私たちがお隣のアンドロメダ銀河へ旅立つならば、約230万光年もの距離を航行しなければならないことと比べると、相当な近距離です。
恒星系というのは、いくつかの星が重力的に結びついていることを表しています。
太陽系では太陽という一つの恒星しか存在しませんが、むしろ星が恒星系を形成して存在していることは一般的です。
ケンタウルス座α星は、実際には三重連星で、α星A、α星B、プロキシマ・ケンタウリの三つの恒星から構成されています。
その内、プロキシマ・ケンタウリが最も地球に近いのですが、これは核融合反応を行う主系列星としては温度の低い赤色矮星です。
2016年、プロキシマ・ケンタウリのハビタブル・ゾーンに、プロキシマ・ケンタウリbという太陽系外惑星が発見されました。
プロキシマ・ケンタウリbの環境は、地球と比べると過酷であることが予想されますが、水や生命が存在する可能性があり、注目されています。
また、2021年にはα星Aのハビタブルゾーンにも太陽系外惑星を発見したかもしれないと発表されました。
太陽系外惑星は水や生命が発見される可能性があるだけではなく、私たちが将来移住する先の選択肢となるかもしれません。
というのも、今後地球環境が深刻に悪化するかもしれませんし、約46億年前に誕生した太陽もあと50億年ほどで寿命を迎えるからです。
ケンタウルス座α星を直接探査する試みが、「ブレークスルー・スターショット」計画です。
同計画では、切手サイズの超軽量宇宙船に地上からレーザーを照射し、レーザーの推進力でケンタウルス座α星を目指します。
驚くべきことに、その飛行速度は光速の20%です。
関係者は技術の確立までに約20年の年月が必要と述べています。加えて、計画の実施には巨額の資金が必要のため、直面する問題は少なくありません。
しかし、現状では到達不可能な隣星に、約20年の航行で到達できるかもしれず、同計画は人類の技術進歩の最も近未来的な展望の一つです。
参考サイト:
太陽系から最も近い地球型惑星発見、過酷な環境 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト